薬剤関連関節痛

閉経後乳がんの治療に用いるアロマターゼ阻害剤(アリミデックス、アロマシン、フェマーラ)を服用している方が関節痛を訴え薬剤の変更を希望されていらっしゃいました。およそ1~3%の方に起こる副作用であり骨代謝に係わるエストロゲンの合成を抑制するこの薬には起こり得る作用ではあります。通常は一般的な鎮痛剤などで対応するのでしょうが、昨年2月に発表された以下の論文をみつけました。
原題Randomized, Multicenter, Placebo-Controlled Clinical Trial of Duloxetine Versus Placebo for Aromatase Inhibitor-Associated Arthralgias in Early-Stage Breast Cancer: SWOG S1202.著者Henry NL, Unger JM, Schott AF, Fehrenbacher L, Flynn PJ, Prow DM, Sharer CW, Burton GV, Kuzma CS, Moseley A, Lew DL, Fisch MJ, Moinpour CM, Hershman DL, Wade JL 3rd
これはこの疼痛に対してデュロキセチン(サインバルタ©)を用いる方法で、統計的に有意差をもって効果が示されています。
このサインバルタ、日本での適応症はうつ病や線維筋痛症です。つまりアロマターゼ阻害薬関連疼痛に正式な適応はありません。
でも僕はたまに抗うつ剤と言われる薬剤の副次的な作用を狙ってうつ病とは関係ない疾患に用いる事があり、大きな効果を得ています。
もちろんその旨お伝えしないと、薬局で懇切丁寧に説明されるため「私をうつ病だと思ったの!」とせっかく築いた信頼関係を損ねる事があります。
このような使い方をするのは一時的であり、長期には必要ない事が多いですし、僕らが管理していれば怖い事はありません。
型に沿う事はリスク管理のために重要ですが、病気を診てばかりではヒトは治せません。否、病気を治さなくてもヒトは治せます。
もちろん信頼関係が出来ていてこその話です。

2018年3月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 院長