悪魔の証明

「起きない事」や「存在しない事」を証明するのは事実上無理です。

「ある」事を証明するのは簡単で、1例挙げればいい訳ですから。

 

今日内科外来をやってるときです(行徳ではありません)。

一人が皮膚科の医師より「この蕁麻疹の悪化は普通ではない。内科で診てもらって来なさい。」

と言われて受診されました。医師にそんな事言われた患者さんはそりゃ不安になります。

蕁麻疹以外の症状は無く、ストレスでも発症し得る蕁麻疹が、潜んでる何かしらの内科疾患のせいではないかと言われれば、それは否定は出来ないでしょう。でも糸口が無ければ頭から足まで調べる事になってしまいます。30代前半の一般には有病率の低い方に、です。

十分に説明をし、ご理解頂き、蕁麻疹以外の症状に気付いたら些細な事でもいいから知らせに来て下さいと言って、抗アレルギー薬を処方しました。

 

議論の一般的なルールとして、「ある」と主張した者がそれを先に証明しなければならないという暗黙の了解があります。

 

今回の場合は紹介してきた医師が、可能性でも構わないので特定の病気を鑑別診断として言ってくるのがルールです。

 

「あなたが先に「ない」事を証明せよ、さもなくば「ある」のだ」と主張する詭弁を「悪魔のの証明」と言います。

2016年08月20日