小林さんの件

につき、医師限定web siteで意見を求められたので、下記の通り発言してきました。

あくまでも専門家間でのやり取りの中の、特定の意見に対する返答です。全ての内容が一般の乳癌に合致する訳ではありませんので、誤解無きように。

 

 「細胞は1個が0.01μ。乳癌のdoubling timeは大体100日ですから直径1㎝になるまで8~10年です。他の癌よりゆっくりですね。子宮癌疑いを3か月後にfollowするのと乳癌疑いを6か月後にfollowするのって同じ感覚ですよ。もし3か月後のfollowを積極的にする場合があるとすれば、腫瘍ではなくbackgroundの乳腺の変化に期待して、もしくは良性病変だと診断したくてではないでしょうかね。転移部位をfollowするなら期間を半分にしてもいいかもしれませんが。
 また、妊娠中でも授乳中でも生検はできますが、無用なストレスや乳汁漏出→感染は避けたいですよね。命に代えることは出来ませんが、その前の画像診断の精度(作成+読影)に依ります。必要なら躊躇しない。
 更に、一般的な乳癌の成長速度から逸脱する乳癌なら、出産後や断乳後に精査・加療を行っても予後に影響はないと思います。早いものはどの時期であろうが早い。つまり妊娠前に発見されてもやっぱり早いヤツなんではないでしょうか?
 もっと言えば、辛い思いをする子供は妊娠前の発見なら一人少なくなるでしょう。でも本当に生まれて来なかった子供は幸せなんでしょうか?医師としては妊娠中でも癌が発見されれば手術も勧めるし(出来るし)、化学療法だって勧めざるを得ません(積極的な報告しかないし)。果たして母親にその勇気があるでしょうか?自分の未来と子供の将来のバランスをとる担保はありません。子供への影響は本当にないと約束出来るでしょうか?それでも治療するでしょうか?
 今回のこと「も」、必然だとは思えませんかね?」

2016年09月17日